作品の特徴

2億年前の粘土
 北海道北部の広大な牧草地帯。ここには約4万5千年前から大陸より日本海を越えて飛来している「黄砂」の堆積した粘土があります。この粘土は科学的に年代測定したところ2億年前のものだと分かりました。太古の大地が風で飛んでやって来たのです。ダイナミックな地球の息吹によって自然が作り出した奇跡の粘土と言えるでしょう。この粘土の粒子は細かく、粘りとコシがあり、薄くて強度のあるうつわを作る事が出来ます。
「大地」に対しての敬意と「自然」への謙虚な気持ちを忘れ無いようにシャベルで手掘りしています。
ブログ「うつわのうまれるところ」
シンプルで使いやすいかたち
 昔ながらの機能的なシンプルなかたちを基本としています。ロクロは蹴りロクロを使用するなどして、ゆったりとした自然なフォルムを生かすように心がけています。
 日々の暮らしの料理を盛った時に見栄えするようにうつわの形状、寸法に気を配っています。
 粘土の特性を生かして、薄く仕上げることで、「土味があるものは重たい」とする従来の概念を変え「土味がありながらも軽く、強度がある」という新しい境地を開拓しました。
自然の風合い
 うつわの表面のガラス質の皮膜(釉薬)は古来から伝わる「木灰」を使った「灰釉」の調合です。
 この木灰は「ナラ」「シラカバ」「イタヤカエデ」など身近な地域で伐採された広葉樹を斧で割って、1年かけて乾燥させたものを燃焼させて出来たものです。
 大量な樹木から僅かな量しか採れないので、天然の木灰はその手間を考えると大変貴重です。
 しっとりとした表面の風合いは「木灰」ならではのものです。
 樹木を伐採する場所や季節によってその灰の性質も微妙に異なり、一個一個変化に富んだ表情をうつわに与えています。
ブログ「いよいよ本焼へ!」
ブログ「シラカバホワイトの誕生」
ブログ「シラカバに祈りを込めて」
風と大地の色
 黄砂に含まれる鉄分を利用して独自に調合し、粉引(こひき)の技法を駆使して出来上がったオリジナルの技法が「黄粉引」です。
 本来「粉引」とは乳白色のぽってりとした素朴な風合いのものをいうので「黄粉引」というのは造語となります。
 「黄色」は人の心を温かく明るく元気にする色です。風と大地が作り出した黄粉引のうつわは、お料理を優しく包み込み、心も体も元気にします。
  粘土素地と、その上に塗る泥との収縮の違いから、表面には細かに縮れたヒビが入ります。時代を経たもののような不思議な雰囲気を醸しています。
ブログ「黄粉引の誕生」
海が彩る鮮やかな赤
 黄粉引のうつわの底部の赤い色彩は「ホタテ貝」「カキ貝」など、北海道を取り巻く海が育んだ貝殻から生まれています。
 貝殻にうつわを乗せたり、添えて焼成することで、この鮮やかな赤い発色を得られます。黄粉引の黄色と貝殻の赤のコントラストが調和します。
 風と大地、そして海が加わることで、北海道の要素を盛り込んだ「どこにも無い独自のうつわ」となっています。