花見の部屋

(2012年7月28日 記事)

旧旭川温泉には部屋がいくつもあります。
昔は宴会場としてどの部屋もにぎわっていた事でしょう。
その一室を改修しました。

別館の2階にある15畳の宿泊スペース。
こちらからは、建物の中庭や裏山を望む事が出来ます。
桜がすぐ近くに咲いているので、室内にいながら花見が出来るのも魅力です。

まずは畳をとって、壁紙を剥がします。

そして、壁には自家製の貝漆喰を練ります。
窯焚きの時に貝殻を入れるので、貝殻の灰が採れます。
それをしばらく放置していると、パウダー状になるので
それにノリと水を加えると自家製貝漆喰の出来上がり!
これ、実は結構高級な素材のようです。

石膏ボードの上から塗ります。塗りムラも味。

漆喰を塗ると部屋の臭いが無くなります。
水分を吸収したり、発散したりするので空気が清浄して行くようです。
天然素材は凄い。

壁や柱、天井などは水性のペンキで白く塗りました。

スタジオバンナ ティコムーンナイトの様子

2012年6月26日に初のイベント
「ティコムーンナイト」を開催しました。

このイベントは tico moonさんのサウンドを聴き、
今津智士さんの絵画を眺めながら、
駒村八一さんのイタリアンと
田町まさよさんの奄美デザートを
工藤の作り上げたうつわで頂く
という
盛りだくさんの内容の宴会でした。

当初は30人ぐらいの企画にしていたのですが、
あれよあれよという間に噂となって
気がつくとイベント参加者は40人を超える大盛況ぶりとなりました。
御礼申し上げます。

当日はこんな感じでした。

工藤のうつわにお料理が盛られ、人数分のお膳に配置。
イタリアンも和食器に盛られ、お膳に置かれると雰囲気がかわるものです。
ちなみに、このお膳は元々この旭川温泉にあったものなんですよ。

続々と、車が到着。旧旭川温泉の正面玄関から人々が入館。
この建物にとって、このような光景は20年ぶり。

各自お膳を持って、広間の好きなところに座って頂きました。

お料理の内容を説明する駒村八一さん
その間にチューニングするtico moonの影山さんと吉野さん

tico moon の演奏が始まりました。
ハープとギター。その軽やかな音色にうっとり。

前半40分、後半40分の演奏
演奏の合間には温かいパスタ、演奏終了後には
田町さんが作った奄美のデザートが配られました。

雰囲気は親族が集まっての宴会のように和気あいあい。
参加した皆さんも一緒になって作り上げたイベントになりました。

これぞモノ作りの実験的空間スタジオバンナならではのイベント。
皆様ありがとうございました。

さて、、、、イベントが終わって、スタッフ打ち上げ!
達成感の中で呑むビールは最高!これがたまりません。
皆さんお疲れさまでした。

左:田町さん ピースしている左:工藤 
ピースしている右:tico moon 影山さん
右:tico moon 吉野さん
後方中央:駒村さん

<スペシャルサンクス>
イベントに使うための座布団の制作を手伝ってくれた庄谷さん
参加者だったのに、料理経験者という事で厨房手伝いとなってしまった櫻田さん
照明器具をお貸し下さった豊島さん

地鎮祭

(2012年7年28日 記事)

営業を辞めてから20年ものあいだ、旭川の郊外に放置されていた 旧旭川温泉を再活用するために、出来るだけ自分たちの手によって、手作りで改修して行こうと考えました。

33年の歳月をかけて作られたシュヴァルの理想宮のように、時間がかかっても、
その行為そのものを継続して楽しむ事こそ、モノづくりの醍醐味だと思うからです。

ある意味、この世に完成というものは無いのかもしれません。
物事は瞬間瞬間で変容するものですから、当然か、、、

そういえば、インドに旅行した時に見たエローラの石窟寺院。
あれは300年もの歳月をかけて寺院を石を刻んで作ったんだったけ。
そこまででなくてもいいけど、、

これからの長い歳月、この旧旭川温泉の
建築物と寄り添って行きたいものです。

まずは、鷹栖神社から神主様を招き、 旧旭川温泉を改修するにあたって地鎮祭を行いました。

お祓い、工事の無事、この建物の行く末などを祈願しました。

信楽から吹いてくる風  伊藤喜彦

(2012年7月10日 記事)

信楽から吹いてくる風
伊藤喜彦(いとうよしひこ)

 コレクションの整理をしていたら、ふと思い出のある品物に目が止まった。同じ場所にしばらく置いてあったので埃がかぶっている。陶の作品なので丁寧にブラシで洗うと、再び美しく輝きを放った。
 陶は割れる心配はあるが、直射日光にも耐え、極寒でも凍らず、汚れれば水で洗う事もできるので、耐光性のない絵画や湿度管理の難しい木彫作品に比べるとコレクションとしては扱い易い素材でもある。

 私は滋賀県の信楽町という焼き物の産地で、陶芸作家の元で3年住み込みの修行した後に、信楽学園という知的障害のある児童のための県立の全寮制の施設「信楽学園」で2年間、窯業訓練の担当として働いていた。

 この作品はこの頃に頂いたものだ。もう20年前になる。伊藤喜彦さんが制作した土鈴で、振るとチリンチリンといい音がする。

 伊藤さんは1934年に生まれた。55年に信楽青年寮(成人の知的障害のある人達のための入所施設)が開設されると入所し、05年に亡くなるまで過ごした。

 信楽青年寮は地域の中で障害のある人達が働き、暮らして行くという事を古くから実践しているところで、信楽の町工場に青年寮の人達が働いている姿をしばしば見かける。伊藤さんも同じように町工場で働きに出ており、ブツブツ独り言を話しながら工場に通っている姿を毎日のように見かけた。

 伊藤さんは1980年頃から陶の作品を作っていた。絵本作家の田島征三さんが、伊藤さんの土鈴と出合い、それが「しがらきから吹いてくる風」(90年/シグロ制作/91分)の制作につながった。この映画は信楽の町で知的障害のある人達がおおらかに働き生きている姿を映し出したドキュメンタリーの傑作で、伊藤さんの豪快な制作の姿もしっかり記録されている。

 伊藤さんについて語られたもので、私が気に入っているのが、田島征三さんの著書「ふしぎのアーティストたち」(労働旬報社)で書かれた伊藤さんの自己紹介の様子だ。田島さんの来訪に伊藤さんは、トイレの隣に特設された個室の中から、「どこの誰だかわからんけど、お土産も持たずにアホな顔ぶらさげたのが来とるようやなあ。まことにもって、どうもすいません。わたしはナサケナイ、シガケンのシガラキのシガラキセイネンリョウの精神の心をググーッと押さえて、無視して土鈴つくってますねん」と挨拶する。

 精神をググーッ押さえてと言うわりには、伊藤さんには奔放で豪快な逸話が多い。

<あさひかわ新聞2012年7月10日発行 工藤和彦「アールブリュットな日々」より>