会場には多くの陶器好きの人達で、にぎわい始めました。
歩きながら展示台に並べた僕のうつわを見つめる方もチラホラ。
だいたい陶器好きは、まずお目当ての陶芸家の元に行くか、
とりあえず一周回って、購入しようと思うものに目星を付けるもので、
なかなか、すぐには売れないものなのだと経験から分かっていますが、、、
何とも見つめられるだけでドキドキする。
はたして、僕のものを買ってくれる人はいるのだろうか。
こんな緊張感は久しぶり。
足を止めてじっくり吟味している方が何人か現れる。
そして、、ついに!うつわを持ち上げてこれを欲しいという動作を確認。
おお!開始早々、海外初のお客様!
記念に撮影させて頂きました。
この方を僕は忘れる事はないでしょう。
嬉しかった~。ありがとうございます。
そして、その後間もなく、またまた嬉しい事がありました。
このイベントに出展している陶芸家の方が、
突然「コンニチワ」と日本語で声をかけてくれたのです。
その方はパスカルさんというフランス人で、フランスのナントで志野焼をされている陶芸家でした。
パスカルさんは日本の焼き物が大好きで、何回も来日しているそうです。
当然、日本の陶器のことを熟知されていました。
特に桃山時代の志野焼を再現した荒川豊蔵先生を尊敬しているようです。
パスカルさんは、日本から陶芸家がこのイベントに出展するという事を知って、興味を持っていたようです。
そして、僕のうつわをじっくり吟味し始めました。陶芸家ほど、陶芸に詳しい人はいません。パスカルさんはどういうふうに僕のうつわを見るのかと、こちらも逆に興味があります。
すると、パスカルさんが「気に入った」と言いだして、いくつも買って下さいました。
陶芸家に購入してもらうほど、確かな手応えはありません。
このパスカルさんは、とっても気さくな方で「陶芸家は全世界ブラザーなんだ」と言って、ご自分の陶芸家仲間達に僕を連れ回して紹介してくれました。そして、早速、購入したうつわを披露し始めました。
長く陶芸をしていると、作品を見れば、その人の技量と人柄が何となく分かるもので、そういう点では僕のうつわは陶芸家仲間に紹介出来る合格点はとれていたのかもしれません。
そして、みんなでワインで乾杯!思いもかけない展開。
言葉が通じなくても、同じ志で通じている。
今まで陶芸をしていて良かったと思った瞬間でした。