被災は他人事ではない

 今年の2月。昨年同様に東日本大震災に向けて募金をしようと考えていた矢先のアクシデントでした。
異常なほどの寒気に見舞われた旭川では気温が低く、また降雪も多いため積雪量が例年に比べ遥かに多くなりました。
そのため、旭川では市場や体育館の屋根が積雪の重みで潰れたりしました。無論、民家でも多くの被害が出ています。特に岩見沢市の被害が大きく、当時大きく取り上げられていました。

残念ながら、僕もその被災者となりました。数日続いた吹雪で屋根に雪がたまってしまい。雪下ろしが間に合わないうちに、作業場の屋根が重みに堪えかねて折れてしまいました。

無惨に建物の左側の屋根が折れているのが分かるでしょうか。
この現状を見て呆然としましたが、とにかく冬までには資金をためて直さなくてはと考え、これまで頑張って来ました。
そしてようやく、秋になって工事が始まりました。

さすがに高いところの作業なので、自分で修繕出来ないので知り合いの親切な業者さんにお願いしました。
まず、鉄の非常階段を取り外して、足場を組みます。手際よく作業して頂いて、数日後には見事に復活しました。

これで、とにかく一安心です。何とか冬を迎えられます。
それにしても、いつも自分にも災害の危機はあるものだと考え、行動しなくては、、、、と教訓になりました。

北海道の秋

夏の陽気がいつまで続くのかなと思っていたら、いきなり寒くなって北海道の秋が深まって行きました。
北海道の紅葉は自然の雄大さと相まって、とっても美しいものです。
特に、我が家から2時間のところにある然別湖(しかりべつこ)は、僕の大好きな場所です。
旭川から然別湖に行くには途中、層雲峡を通って行きます。ここは温泉が有名です。「層雲峡」の名前の由来はアイヌ語で「ソウウンベツ」(滝の多い川の意)で、ここではいくつか滝も見られます。

これは「流星の滝」です。近くに銀河の滝もあります。

国道39号を大雪ダム方面へ向かい、トンネルを過ぎると左手に大函渓谷があります。

岸壁の岩は柱状節理といい、大雪山から噴出したものが固まって出来たもので、断面がほぼ六角形です。層雲峡周辺にはこれで出来た崖が多く見られ、層雲峡独自の風景を作り出しています。
三国峠を超えて、糠平湖から山を昇って行くといくつかスキーリフトが目に付きます。この道路そのものが、冬期にはスキー場になってしまうんです。「糠平源泉郷スキー場」にも冬は度々スキーをしに来ますが、このスキー場はおすすめです。
雄大な自然の中でパウダースノーを思いっきり楽しめます。
くねくねの道を進み、山を登りきったところに然別湖があります。
10月上旬だったので、まだ思った以上の紅葉とは行きませんでしたが、いつ来ても良い場所です。神聖な雰囲気を感じます。

この日はテントを持って来たので、キャンプしましたがとっても寒くて夜中はなかなか寝れませんでした。冬の装備でないと北海道の秋でのキャンプは危険なようです。

10月下旬になると、我が家の周辺の林も紅葉して来ました。
赤、黄色で森が輝いています。

秋の山の楽しみ。それは栗です。
早速、いつもの栗の木に向かいました。

すでに、栗はいっぱい落ちて山の動物たちに持って行かれていました。
リスや野ネズミたちは大喜びでしょう。
少し木を揺すってみると、いくつか落ちて来ました。

まあまあ、大きい栗があります。栗ごはんでも作ってみようかな。
北海道の短い秋をもう少し満喫したいものですが、目前には冬が待っているようです

金沢の食 

 金沢は、能登半島の美味しい魚や野菜も豊富。そして、料理の技術も素晴らしく、料亭や割烹、小料理店が多くあります。金沢の楽しみのひとつは、やはり「食」です。料理とうつわは密接な関係があるので、料理屋さんに行くことは大事な勉強とも言えます。
ということで、、、
金沢の木倉町通りにある「六味一滴」さんへ行って来ました。
店内に入ると、ビックリ!
なんと、工藤和彦の「黄粉引花瓶」にススキが生けられていました。
嬉しいサプライズです。
それにしても秋にぴったりの雰囲気となっています。

店主の北崎さんが、店内のお花はすべて生けておられます。

今回はフルコースで頂きました。旬の蓮根を主体にして、地元の食材を駆使したお料理の数々。使っているうつわにもこだわりが伺えます。北崎さんのお料理はほんとに実直に手間をかけ、素材の味を引き出しています。体に染み渡りました。

コースの一品。旬の脂がのったサバ味噌煮は、工藤和彦作「黄粉引8寸平鉢」に盛られました。
お料理の色彩と黄粉引の黄色、取り分けようの青竹の緑の色が美しく、夏から秋へ向けての印象が残る一品となりました。

昨年の個展でお買い上げ頂いたもので、再びこのように自作のうつわと再開するのは、嬉しいものです。しっかり、お役目を果たしているようで何より。

今回は5000円のコースを頂きましたが、松茸や地元の魚、野菜がふんだんに使われており、リーズナブルな印象です。美味しい地酒も多種揃っているのも嬉しいです。
工藤おすすめのお店です。

秋の彩り マグカップ

 今年は9月下旬になっても旭川は気温が高かったので、秋の始まりが遅いように感じます。
やっと近頃、日増しに朝晩が冷え込むようになって、我が家の裏の雑木林も色づいて来ました。
紅葉の彩りを彷彿させる黄粉引のマグカップを作りました。
いつまでも飽きのこないシンプルな形です。
とっては大きめにしているので持ち易くなっています。

黄粉引マグカップ 径80(mm)高さ80(mm)

近年取り組んでいる緑粉引。深い森のような緑色のものが出来ました。
内側は白く刷毛目となっています。

緑粉引マグカップ 径80(mm)高さ80(mm)

温かいコーヒーや紅茶、スープなどを飲むと、冷え込んだ体を暖めるだけでなく、心もなんだかほかほかします。
コーヒー豆専門業者の方から聴くところによると、北海道はコーヒー豆の消費量が特に多いそうです。寒い地方ならではの現象といえます。
コーヒーカップよりもなんとなく身近な存在である「マグカップ」。
いいもんです。

哲朗君と粘土の楽しい関係

(2012年10月4日 記事)

 年に数回、私の工房に哲朗君はやって来る。彼との付き合いは、もう12年にもなるだろうか。最初、哲朗君は粘土に触れるのを嫌がっていた。次第に粘土には触れられるようになって、叩いて皿を作ることを教えたりしたが、楽しそうではなかった。粘土の感触や造形の楽しさを彼に伝えたいと思う私を困らせた。その哲朗君が劇的に変わったことがあった。

 出会ってから7年目。無造作に、机から床に落ちた粘土の「音」に気がついたことだった。工房の床下は空洞になっているので、音が共鳴したようだ。私には特に気になるような音ではないのだが、視覚に問題のある哲朗君は驚くほど聴覚が敏感で、それに気がついたのだ。それからというもの、哲朗君は粘土をちぎっては床に放り投げる事を繰り返すようになった。このように積極的に粘土と関わる哲朗君の姿を見て、私は衝撃的だった。陶芸をする者としては粘土を床に落としたらゴミが付くし、床も汚れるので本来は嫌なのだが、哲朗君があまりにも楽しそうにしているから、私は口を出さず見守ることにした。放り投げも2年後にもなると,哲朗君はバケツの水の中に粘土を落として、音を立たせることも発見した。投げた粘土が偶然に作業場のバケツに落ち,「ポチャーン」と音が響いたことがきっかけだった。聴くところによると、どうやら哲朗君は幼少の頃にマンホールの中に小石を落として「ポチャーン」という音を聞くのを密かに楽しんでいたそうで、近所のマンホールを小石で埋めてしまったという逸話もあるらしい。この「ポチャーン」という音が粘土の分量を加減する事で変わっていく事に気がついた哲朗君は,大小さまざまに粘土をちぎって投げ入れて音を聞くようになった。しばらくすると、バケツに溜まった粘土を泥水とともに空中に放り投げて床に落ちる音を楽しむようになった。まるで火山の噴火のような感じだ。
 泥を頭からかぶって、はしゃいでいる彼の姿は、私にとってなんとも神々しい。

 粘土と戯れて心の底から楽しんでいた私の感性は、いったい何処に行ってしまったのだろう。遠い記憶の彼方になってしまった。
「粘土をもっと楽しもう」
 今となっては、哲朗君に私は大事なことを教わっている。

写真:泥まみれの哲朗君

(あさひかわ新聞 2012年9月11日号 工藤和彦 「アールブリュットな日々」より)