東日本大震災の傷跡

 3年前の3月11日に発生した東日本大震災によって、想像を遥かに超える被害が東北にもたらされました。
その惨状は凄まじく、3年経った今でも大きな傷跡を残したままです。
僕は東日本大震災を直に経験をしていませんが、仙台に来る度に思い知らされます。

しばしば個展に来てくださる方が当時の事をお話しくださいます。
「大事にしていたうつわが全部割れてしまったの、、、」と肩を落とされます。
長年、大切に愛用していたものを失う事は非常につらい事を察します。
言葉のかけようもありません。

ただ、うつわへの想いは消える事がないようで、一つ一つ丁寧にご覧になってくださいます。
「うつわを見ているだけで心が休まるのよ」とポツリと言われた方がいました。
「うつわ」の力は凄いものだと、気がつかされます。
そうした「うつわ」の生まれる手助けを仕事としていることを嬉しく思いました。

震災後に仙台市内で開催された「わののわ」というイベントに参加した時に、知り合いになった石巻の陶芸家山本雅子さんを昨年、訪ねました。そして、山本さんに石巻をご案内頂きました。

目に映る石巻の光景、その惨状には言葉を失いました。
新聞やテレビ、インターネットで見てはいましたが、実際にその場に立って五感で感じるものとは遥かに違います。
2年経って、当時からするとだいぶ片付けられているようですが、まだまだその傷跡は至る所に残っていました。

日和山公園から海沿いの石巻を見渡すと、ほとんどの建物が津波の被害で壊されたことが分かります。

石巻市立門脇小学校。日和山公園の下に位置していて津波の衝撃をもろに受けた建造物です。
「多くの車がこの建物にぶつかって、燃料に引火しての火災がひどかった」と山本さんは言っておられました。
海抜の高さによって、被害の度合いが克明です。
川沿いでは一階部分がすっぽりなくなっている建物を多く見かけました。

東日本大震災を今一度思い起こすためにも、是非一度は被災地を訪ねられることをお勧めしたいと思います。

亡くなられた方には心よりご冥福をお祈り申し上げます。
震災によって不自由な暮らしとなってしまっている方々には、一刻も早く生活が改善されるように願います。

3年目、これから春を迎える東北で工藤和彦の個展を再び開催してくださった関係者の皆様に深く感謝申し上げます。
今後とも陶芸に精進し、たくさんのうつわをご披露できたらと思っています。

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