先日、2時間かけて採って来た石です。
いよいよこの石から新しい「何か」を作り出せないか、実験が始まります。
「この世の中に存在するもので釉薬にならないものはない」と言った人がいますが、ほとんどのものが釉薬の原料になります。石や木、草や土。鉄でもなんでもなるでしょう。もともと、地球そのものが宇宙のチリが圧縮されて高熱で溶けて出来上がったものですからね。
僕の中での釉薬の製法の考え方は至ってシンプルで「溶けにくいもの」と「溶けやすいもの」が組み合わされて、温度の上昇によってどう「溶ける」かということです。
一言で「溶ける」と言ってもその段階は色々あります。
「失透」~「乳濁」~「透明」温度の上昇でその溶け方も変化して行きます。
物質の組み合わせ方と、最高温度での変化。
釉薬の開発は無限に広がる組み合わせのパターンから、いかに宝くじを当てるかです。
さて、まずは石を石臼で砕きます。この石は結構堅くて大変。その後、乳鉢でさらに細かく砕いてすります。どんどん刷ると粉になります。
一か八かで当たるほど、釉薬の開発は甘くありません。分量を微量に変えながら試験を繰り返すので、テストピースを作ります。粘土を石膏に入れて形づくります。それを素焼きして保存しておけばいつでも実験が出来るので便利です。
今回はイタヤカエデの灰を組み合わせる事にしてみました。
①石10 ②石9:1灰 ③石8:2灰
というように、、、、組み合わせます。
それに水を加えて、素焼きのテストピースに塗布します。
還元焼成と酸化焼成、釉の濃さでも違いがあるので、あっという間にテストピースは30個になります。
そして、窯の中に、、、
テストピースの一部。様々な変化。この中から、自分に合ったものを絞っていく。
ある程度調合を絞ったら、一気にポットミルでする。
回転するポットの中で細かくすられる。
そして出来上がったものが、、、、
こちら!!
掘った粘土と近くの砂。
拾って来た石とストーブで燃やしたイタヤカエデの灰
自宅近くの素材だけで作った「ぐい呑」と「徳利」です。
土の赤さがほんのり透けて見えて、
何となく紫かかっているようにも見える。
なかなか、いいかも。
今度はホタテの灰も入れてみようかな。
色々イメージが広がります。