土瓶が焼けた

温度計が300度を下回った。いよいよ窯出しを始めます。まずは、少しだけ窯の蓋を開ける。中から熱気が吹き出して来ます。まだ、中の様子は分かりませんね。

 独立した当時は早く焼き上がりが見たくて、窯出しを焦ってしまって作品を台無しにしたものです。隙間から火ばさみを入れて強引に作品をつかんで引っぱって窯の中に落としてしまったり。一気にふたを開けて急激な冷却をしてしまい化粧が収縮に耐えられずにピンピン音を立ててはがれてしまう大失態など最悪の思い出です。
 このところ少し年を取ったせいか自然の摂理を考えて無茶をしなくなりました。待てば海路の日和あり。急がば回れです。

 200度を下回ったのでいよいよ窯の蓋を全開に。そして、棚板を外すと作品が見えてきました。「おおお!なかなか」、、、この瞬間が陶芸を愛するものの最大の醍醐味ですね。
 今回はなんとか上手く焼けているようです。
上の段には土瓶を入れておきました。

どれも可愛らしく焼けています。手をかけて作ったものほど、上手く焼けていて欲しいという願いは強いものです。これで少しほっとしました。実はこの土瓶たちは行き先が決まっていたので、なんとか成功させたかったのです。失敗するとまた1から作り直しです。失敗を繰り返し続けて、なかなか納品できない事も多々あります。どんなに経験を積んだところで結局のところ、陶芸は窯の蓋を開けてみないと分からないものなのです。

 ところで、気になった方もいると思うのですが土瓶は蓋をして焼きます。これは、別々に焼いてしまうと歪んで蓋が閉まらなくなってしまうので、それを防止するためなんです。生まれた時からずうっと一緒なんです。だから蓋を割ってしまうと、その代わりのものは出来ないので、蓋はくれぐれも大切にしてやってください。

 さあ、どんどん窯から出して行きましょう♪